Thursday 5 November 2015

TOEICの出題形式が変わるらしいけどさぁ…

「ふ〜ん(ほじほじ)」的リアクションでOK

英語ができればスコアが取れるという前提を覆すような変更があるわけじゃないんだから、天地がひっくり返るかのように騒ぎ立てるほどのことじゃないってば( ̄ω ̄)
(参考→TOEIC®テスト 出題形式一部変更について

もちろん、「TOEIC屋さん」にとってみれば、

  • 出題形式変わるぞ〜!
  • 今までの対策じゃダメだぞ〜!
  • オオカミが来たぞ〜!
  • ウチは新形式の情報をいち早く取り入れてるぞ〜!
  • こっちの水は甘いぞ〜!
  • 王様の耳はロバの耳〜!

と、儲けるために騒ぎをできるだけ大きくしなきゃならんのでしょうけれども。

この狂乱状態を見ていると、どうも「英語学習」の文脈ではなく、言ってみれば「人気ゲームシリーズの新作発売決定!」というニュースが発表されて、「それをいち早くプレイ・攻略したいゲーマー」が興奮気味に話しているだけのような印象を感じる。

ウイイレが上手くなったからってサッカーが上手くなったわけではないのと同様(「役に立つ」部分はあるだろうけれども)、TOEIC対策といってもゲーマーのような連中が攻略法を説いているような状況が主流のままでは、出題形式こそ変われど、肝心の学習者の(平均的な)英語能力は何も変わらないだろう。

形式変更→では、本物の対策とは?

今回の発表を受けての「業界」の反応をざ〜っとググってみたのですが、まぁ残念なことに、現状ほとんどが公式発表の単なる拡散と感想程度のコメントがあるばかりですね。

TOEICを(というか英語を)教えている自覚があるのなら、「では、学習者は今後どのように学んでいけば良いのか?」という部分への議論が活発になされてほしいものなのだが…

■やはり発音能力が前提

HirohitoのTOEIC対策レッスンが出す答えとしては、基本方針に一切の変更はありません。

試験問題の英文やリスニング原稿を正しい発音・リズム・イントネーションで読めるようになることにより、ナチュラルスピードで聴き取れる・英文の読解スピードが上がる
という部分を強化していくことが、引き続き一番の対策になると考えています。全体の英文量が増える方向への変更ということもあり、「たどたどしくしか読めない→時間切れ」となってしまう可能性はより高まるわけで、その対策として大前提になる英語を正しく音声化できる能力の重要性が増していることになります。

■文法力がより一層大事に

表面的には、
  • 短文穴埋め問題(Part 5)の設問数が減ります。
  • テキストメッセージやインスタントメッセージ(チャット)、オンラインチャット形式で複数名がやり取りを行う設問が加わります。
  • Elisions(省略形: going toが gonnaなど)、 Fragments(文の一部分: Yes, in a minute; Down the hall; Could you?など)を含む会話が流れます。

という変更点を見ると、「じゃあ細かい文法を勉強するよりも、実際ネイティヴが会話で使う表現を覚えたほうが良いんだ!」と考えてしまうかもしれません。

形式変更後には、TOEIC屋さんが『新形式頻出!ネイティヴが使う会話フレーズ集』みたいな燃えるゴミを数多く排出することでしょう…(-_-;

しかし実際には、これらは文法能力重視の変更なのです。

Elisionは音声的、Fragmentsは文法的な省略現象と言えますが、「省略」ということは当然その裏には「原型」が存在するわけであり、それを頭の中で復元できて初めて正しい理解に至ることができるのが省略表現です。

省略しないで言うとどのような文になるのか?・文脈上の既知情報がどのように消されているのか?・代名詞や指示語は何を指しているのか?…といった、文法力に立脚した読解(および、それをベースとした聴解)が、表面には見えにくい形ですが、今まで以上に重要度を増している、というのが今回の変更点の大きなポイントと言えるでしょう。

「意図を問う」問題のベースも発音と読解


今回の発表を見ると、TOEICが「話し手・書き手の意図を理解する」という能力を重視していることがよくわかります。
  • 会話やトークの中で話し手が暗示している意図を問う設問が加わります。
  • 文書中で書き手が暗示している意図を問う設問が加わります。

「暗示している意図=言われて/書かれていないこと」を理解するためには、「言われて/書かれていること」を手掛かりに進んでいくしかない。そしてこの力を伸ばすには、最近の英語教育では(TOEIC対策では特にだね)軽視されがちな精読が欠かせない。

一つひとつの表現に立ち止まって考え、その文が何を意図しているのかに思いを巡らすような丁寧な読みを積み重ねて初めて、深く+速く読めるようになっていくものである。

確かに今までの形式のTOEICでは、情報を「検索する」だけのような読み方でも対応できる問題が多かったが、今後はそのような小手先の芸では通用しなくなってくるわけです。

同時に発音も大事ということは、実際の新形式のサンプル問題 (PDF)を見ながら説明した方がイメージしやすいであろう。

p. 7の Question 8: Why does the woman say, "I can't believe it"? といった問題が出題されるようになるとのことですが、これは(広い意味での)音読をどれだけ丁寧に行っているか?にかかっている。

形だけの、感情も味も素っ気も塩も胡椒もない音読をただこなしているだけでは、この "I can't believe it!"を理解することは難しいかもしれない。(スクリプトを見れば難しそうには感じないかもしれないが、実際にはリスニング問題だからね)

音読ひとつ取っても、どれだけ細部にまで気を配り、話し手や書き手の意図・感情まで反映した練習を重ねているか?が本番に生きてくるであろう。


以上見てきた通り、全体としてはより本質的な「英語の」学習が求められるような変更になってくれているかな、という印象で、テストの波及効果としては好印象を持っている。

だからこそ、縁あってこの記事を読んでくれた読者諸君には、変更点を表面的にしか捉えず、本質を見誤ったような対策に走るようなことは是非とも避けていただきたい。

本物の対策はこちらで:


本物の英語教師 Hirohitoのスカイプレッスン
TOEIC Plus!
http://cafetalk.com/lessons/detail/?id=13246&lang=ja

★Here is the Path to Wonderland☆


磯野〜、野球しようぜ〜!