Sunday, 18 February 2018

Winnie-the-Pooh 新訳・解説プロジェクト始動!

■ クマのプーさんがパブリック・ドメイン入り

Pooh_image
CC0 Image by acandraja / Pixabay

2017年5月21日、Winnie-the-Pooh (A. A. Milne, 1926)の著作権保護期間が切れ、public domainとなりました。(参考:「くまのプーさん:新たなる旅立ち」, 福井健策,  2017, 骨董通り法律事務所コラム)

これを受けて、「100エーカーの森の道案内人」として、ガリレオもいざ名乗りをあげることにしました。ミルンによって紡ぎ出された原文の魅力を楽しみながら存分に味わっていただけるように、年明けから翻訳および英文解説の執筆を少しずつ進めているところです。いずれは正式に世に問えるものにできるようにと考えています。

ちょうど昨年、筑波大学大学院の恩師の一人である安井泉先生が『対訳・注解 不思議の国のアリス』を上梓され、自分としても挑戦してみたいという想いが湧き上がっていたところに、個人的に思い入れのある作品でもある Winnie-the-Poohが(更に20年延長されることなく)public domain入りしたとなれば、これはやるしかないでしょう。

■ Introduction ガリレオ訳

今回の記事では、「まえがき (Introduction)」の対訳部分を紹介します。
 もし、きみが、どこかで、クリストファー・ロビンのことについて書かれたもう一冊の本を読んだことがあるなら、彼がかつて白鳥を飼っていて(それとも、白鳥のほうがクリストファー・ロビンを飼っていたのかな?)、その白鳥のことを「プー」と呼んでいたのを覚えているかもしれないね。

 If you happen to have read another book about Christopher Robin, you may remember that he once had a swan (or the swan had Christopher Robin, I don’t know which), and that he used to call this swan Pooh.

それはずいぶん前のお話で、わたしたちが白鳥にさよならをしたとき、「プー」という名前だけは連れてきたのさ。白鳥は、もう「プー」って名前はいらないだろう、と思ったからね。

That was a long time ago, and when we said good-bye, we took the name with us, as we didn’t think the swan would want it any more.

さて、今度はクリストファー・ロビンのテディ・ベアが、「なにか、呼ばれたら嬉しくなるような、ぼくだけの名前がほしいなぁ。」って言ったんだ。すると、クリストファー・ロビンは、ちょっと考えてみるなんてこともしないで、すぐに、「ウィニー・ザ・プーにしよう。」と言って、そういうことに決まったんだ。

Well, when Edward Bear said that he would like an exciting name all to himself, Christopher Robin said at once, without stopping to think, that he was Winnie-the-Pooh. And he was.

さて、これで「プー」って名前の部分は説明したわけだから、今度は残りの「ウィニー」の方のお話をしていくよ。

So, as I have explained the Pooh part, I will now explain the rest of it.

 ロンドンにしばらくいれば、誰だって動物園に行きたくなるよね。世の中には、動物園に行っても、「入口」って書かれたはじめのところから歩き始めて、どの動物のオリもできるだけ速く通り過ぎてしまっては、「出口」ってところまで行き着いてしまう人もいるけど、本当に良い人というのは、まっすぐにいちばん大好きな動物のところに行って、ずうっとそこにいるものなんだ。

 You can’t be in London for long without going to the Zoo. There are some people who begin the Zoo at the beginning, called WAYIN, and walk as quickly as they can past every cage until they get to the one called WAYOUT, but the nicest people go straight to the animal they love the most, and stay there.

だから、クリストファー・ロビンが動物園に行くときは、ホッキョクグマのところに向かうってわけ。そして左から3番目の飼育員さんに何かささやくと、ドアを開けてもらえるから、暗い通路や急な階段をクネクネと進んで行って、やっと、あの特別なオリの前にたどり着くんだ。そのオリも開けられると、のそっと出て来るのが、茶色いモコモコしたやつで ー「やぁ、クマさん!」と嬉しそうな声をあげると、クリストファー・ロビンは、その腕の中に飛び込んで行くんだよ。

So when Christopher Robin goes to the Zoo, he goes to where the Polar Bears are, and he whispers something to the third keeper from the left, and doors are unlocked, and we wander through dark passages and up steep stairs, until at last we come to the special cage, and the cage is opened, and out trots something brown and furry, and with a happy cry of ‘Oh, Bear!’ Christopher Robin rushes into its arms.

で、このクマの名前が「ウィニー」って言ってね。だから、この名前が、どんなにクマにぴったりなのか、わかってもらえたでしょう。でも、おかしいなぁ。「プー」が先で「ウィニー」って名前をつけたんだっけ、それとも「ウィニー」が先で「プー」だっけ?前はちゃんと知っていたんだよ。でも、もう忘れちゃってね…

Now this bear’s name is Winnie, which shows what a good name for bears it is, but the funny thing is that we can’t remember whether Winnie is called after Pooh, or Pooh after Winnie. We did know once, but we have forgotten. . . .

 ここまで書いたところで、コブタのピグレットがこちらを見あげて、「ぼくのことは?」って、かん高いキイキイ声で聞いてきたよ。

 I had written as far as this when Piglet looked up and said in his squeaky voice, ‘What about Me?’

だから、「ねぇピグレット」と呼びかけて、「この本ぜーんぶに、君のことが書いてあるんだよ。」と答えてあげたんだけど、「でも、これプーの本なんでしょ?」って、キイキイ声ですぐ言い返してきたんだ。

‘My dear Piglet,’ I said, ‘the whole book is about you.’ ‘So it is about Pooh,’ he squeaked.

わかるよね。ピグレットはヤキモチをやいているのさ。この「だいじなまえがき」を、プーにひとりじめされたと思ってね。

You see what it is. He is jealous because he thinks Pooh is having a Grand Introduction all to himself.

もちろん、プーはクリストファー・ロビンのいちばんのお気に入り。それを「ちがうよ」と言うことはできないけど、それでも、プーではいけなくて、ピグレットの出番になるようなこともたくさんあるんだよ。だって、みんなに気づかれないように、こっそりプーを学校に連れて行くなんてことはできないけど、ピグレットなら小さいから、するっとポケットに入れちゃうもんね。そして、「7かける2は12だったっけ、22だったっけ?」と、よくわからなくなったとき、ポケットの中のピグレットに触ってみれば、どんなに心が落ち着くだろう。

Pooh is the favourite, of course, there’s no denying it, but Piglet comes in for a good many things which Pooh misses; because you can’t take Pooh to school without everybody knowing it, but Piglet is so small that he slips into a pocket, where it is very comforting to feel him when you are not quite sure whether twice seven is twelve or twenty-two.

ときどき、ピグレットはポケットからするっと抜け出して、インクつぼの中をじーっとのぞきこんだりもするから、そんなわけで、プーよりも高い教育を受けているってことになるんだ。もっとも、プーは気にしてないけどね。知恵を持つのもいるし、持たないのもいる、とプーは言うんだ。そういうものさ。

Sometimes he slips out and has a good look in the ink-pot, and in this way he has got more education than Pooh, but Pooh doesn’t mind. Some have brains, and some haven’t, he says, and there it is. 

 さぁ、他のみんなも言いだしたよ、「ぼくたちのことは?」って。だから「まえがき」はこのくらいにして、お話にとりかかる方が良さそうだね。

 And now, all the others are saying, ‘What about Us?’ So perhaps the best thing to do is to stop writing Introductions and get on with the book.
※拙訳;本記事掲載の訳は、推敲の上、加筆修正を施す可能性があります。

★Here is the Path to Wonderland☆

それにしても、平昌オリンピックでの羽生結弦選手の演技の後、プーさんが降ってましたねぇ…( ̄▽ ̄;)


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Tuesday, 13 February 2018

「ガリレオ研究室」オススメ TED動画: Want to change the world? Start by being brave enough to care | Cleo Wade

内容もさることながら、聴いていて耳に心地よい英語のリズムを感じました。

「読書百遍、意自ずから通ず」といった学びは、とかく効率化を求める現代の風潮には合いにくいものではあるが、それでも「意味」を一度脇に置いてでも、耳を傾け、音読・暗唱して、英語の「音」の心地よさを感じてみてほしい。


=====
例えば、まず最初の "オチ" (punchline)へと至る箇所 (0:54頃):
I wanted him to know that the way we find our strength is through our challenges. I wanted him to know that we can all do something big when we start small. I wanted him to know that each of us is more resilient than we could ever imagine. So here I am holding little Thelonious. I look down at him, and it hits me: he's a baby.
"I wanted him to know that ~"という弱・強リズムの繰り返しで、確かに大人が子どもに伝えたいと想うメッセージが提示され…

Thelonious君を腕に抱きながら気がついた (it hits me):赤ちゃんやないか!と。

=====
また、ガリレオが個人的に「ここは!」と思ったのが以下 (8:47頃):
We forget that the power to change someone's life is always in our hands. Change-making does not belong to one group of people; it belongs to all of us. You don't have to wait on anyone to tell you that you are in this. Begin. Start by doing what you can with what you've got, where you are and in your own way.
(大意):
変化を起こす力は自らの手の中にある。始めよう。自分にできることから、今あるもので、今いる場所で、自分のやり方で。

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他にも、"We can transform insecurity into security." (6:31頃) のように、「おぉ(゚∀゚)!」と感じる英語に乗って、愛情あふれたメッセージが届けられています。

単なるフリートークレッスンや、試験で得点を稼ぐための作文練習では、英語の「語感・質感」にまで意識を向ける機会はほとんど得られないであろう。

しかし、本物の outputの力を涵養するのは美しい英文の手本。ぜひ、まずは耳から、楽しんでみてください♪


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Friday, 2 February 2018

英語学習Q-A: ノートはどう作れば良いですか?

■【GSI】: Galileo Studies Italian ~ノート2冊目へ~

本記事では、ガリレオのイタリア語学習の進め方を紹介しながら、英語をはじめとする語学学習者のために「ガリレオ流ノート論」を示してみたい。

さて、現在進めている問題集 Nuovo Progetto Italiano 1のために用意したA4ノートが、本日 Unità 8の半ばで 2冊目に突入しました。

イタリア語ノート
ガリレオのイタリア語学習ノート

効率を考えれば問題集に直接書き込んだ方が早いわけだし、別に「ノートを作ること」それ自体がエライとも思わない。結論から言えば、どれだけノートに残したかではなく、どれだけに残したかである。ノート作りで満足して反復練習を疎かにするくらいならば、さっさと問題集に書き込んでしまって、浮いた時間で音読などのトレーニングを積み重ねた方が良いという考え方もある。

そうは言いつつも、ガリレオ自身の語学学習は「かなり書く方」だと思う。
  • 現在(イタリア語)
    → 問題集の本文は全てノートに書き写して取り組む。
  • 中学・高校(英語)
    → 教科書本文をノートに書き、授業中の説明を書き加える。
  • 大学時代(ドイツ・フランス語)
    → リスニングの比重が高いテキストを題材に、片っ端からディクテーション
英語ノート
高校1年生時代の英語ノート

ちなみにイタリア語でも、大学時代ほど学習全体に占める比重は高くないものの、リスニングの問題は自力で聞き取れる限界まで全文ディクテーションに取り組んでいる。

■ 書写心得

ここで、「教科書や問題集の本文をノートに書き写す」ということについては付言して注意を促しておきたい。ただ漫然と転記するのは「作業」であり「学習」ではない。労力に見合うような効果も期待できないであろう。

あくまでも、覚えられるギリギリの長さの文・フレーズを短期記憶に保持し、その覚えたものを書き出していくことが大切。音読における Read and Look upと同じ要領である。

ガリレオも、イタリア語では「覚えられるギリギリの長さ」というのは本当にまだまだ短いものです( ̄▽ ̄;) それでも、継続してやっていくことで、何度も出てきた表現やシンプルな構造であれば、文単位で一気に書けるようなものが少しずつ増えてきました。

★ Here is the Path to Wonderland☆
Ho dimenticato la il cellulare a casa e devo tornare a prenderlo.
(I forgot the cellphone at home and have to go back to get it.)

↑ 試しに一番最近やった問題の例文を上の方法で書いてみた。
cellulareは男性名詞か…(-。-;


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Sunday, 28 January 2018

地元の恥

3割がTOEIC得点足りず卒業危機 道教育大函館校の対象4年生(北海道新聞)

大学生の英語力を測定するのに TOEICが妥当か?ということはあるにしても、合格基準は 640点(国際協働グループ)か 480点(地域政策グループ・地域環境科学グループ)である。いやしくも「大学を卒業した=学を修めた」というのなら、クリアして然るべき基準に過ぎない。

学生本人たちの努力・学習姿勢もさることながら、ガリレオが本当に問題視しているのは、大半が中学・高校の6年間+大学でも数年間は英語の授業を受けていながら、TOEICというモノサシで測った時に(百歩譲って 640点はさておくとしても)480点レベルの英語力をつけさせるに至っていないのか?というところ。それができないのならば、そこまでの英語教育は全て失敗と言わざるを得ない。

■ 「何が何でも達成させる」という気概はあったのか?

記事によれば、「今年3月に初めてTOEICの合格ラインを超えた卒業生を送り出す」とのことなのだが、もし合格基準を卒業要件に設定しただけで、達成に向けての取り組みを学生に丸投げしていたのだとすれば、いくら大学が自主的な学びの場であると言っても、あまりにも杜撰である。

大学として、「我が校を卒業するということは、かくなる力を身につけていることなり」と定める以上、その設定した能力を学生が身につけられるように鍛え上げる義務があるとガリレオは考える。

単純な知識の伝達であればスマホ1つでも事が済む現在、ヒドゥン・カリキュラムとしての校風・気風の存在が、学校に行って学ぶことの大きな意義であると言えるだろう。灘や開成はどうして東大合格者を多数排出し続けられるのか?…長年培ってきた「東大を目指す空気感」が学校内に漂っているに違いないし、これが生徒に与える影響は想像以上に甚大である。翻って、道教大函館校の地域協働専攻の中には、「TOEIC 480点ないし 640点を取るのが当然」という空気感が生まれていたのだろうか、非常に疑わしい。

■ 筋を通すべし

「同校は急きょ、2月に補講と追試を行うことを決めた。この追試で合格点に達しなければ、卒業できない。」とのことで、“一応は”ギリギリ筋を通したと言える対応ではある。

ただ、実際に大学での TOEIC講座を担当した経験から感じることだが、いわゆる TOEIC対策がスコアに反映されやすいのは 640点のような中級レベルを目指す場合であり、480点突破を目指す場合には基礎から鍛え直す必要がある場合がほとんどであるため、週1~2回ペースでの授業だけで「取り繕う」のは厳しい。

補講と追試は一般的に「救済措置」と呼ばれるものであるが、本当の意味での救済とは、ただ「最後にワンチャンあり」にすることではない。石に噛りついてでも合格基準相当の英語力を身につけさせるべく、3月末まで徹底的に叩き込む。Feasibilityの問題があるのは当然だが、これこそが本質的に筋を通した対応であると思う。

★Here is the Path to Wonderland☆

「Skype個別指導」でありながら校風・気風が漂うのがガリレオ研究室。
4〜5回レッスンを続けてもらえば、間違った発音をした時に生徒が自主的に言い直しはじめるからね(^^)

※この記事を読んでいる卒業危機の道教大函館校4年生がいれば:
ガリレオ研究室「TOEIC・英検対策レッスン〜『美しく』目標を勝ち取るために〜」

叩き込みます。


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Friday, 26 January 2018

英検:自己採点考

先週末、英検の第3回検定が行われました。受験された方、どうだったでしょうか?



…敢えて漠然とした問いかけをしてみたわけですが、実際に受験した自分の出来について、「どれだけ詳しく客観的な自己分析ができているか?」というところが、結果に関わらず非常に重要な事である。

というのも世の中には、いつも漫然と受験しては「今回は(比較的)良かった・出来が悪かった」などと場当たり的なことしか言えず、結局は"英検協会のお得意様"になっている人が沢山いるわけで…( ̄∀ ̄;)

今回の記事では、自己採点の結果、残念ながら合格ラインには届いていなさそう…という人を対象に、ガリレオ自身の過去の経験も踏まえ、着実に目標達成へと近づいて行くための学習方法を論じていきたい。

■ 自分の立ち位置と目標レベルの差

まず、今回の結果を踏まえて、素点ベースで良いので、各大問・Part毎に何問正解を目指すか明確にしよう。

例えば、ガリレオの英検1級受験時の正解数の推移は以下の通り:
(2010年度→2013年度→2014年度・いずれも第3回検定・2014年度に合格)

  • 語彙・熟語:11問→13問→18問 / 25
  • 読解(空所補充):4 → 6 → 5 / 6
  • 読解(内容一致):8 → 10 → 9 / 10
  • リスニング
    • Part 1:6 → 9 → 9 /10
    • Part 2:5 → 9 → 7 / 10
    • Part 3:2 → 2 → 4 / 5
    • Part 4:1 → 2 → 1 / 2
  • 作文:20 → 12 → 18 / 28

ガリレオの場合、まず読解は初回受験時から勝負できる手応えを感じていたので目標は9割。リスニングについては、全体として75%程度の正答率を目標とし、克服すべきは Part 3ということを意識していた。

一方、語彙問題については鬼門とは感じていたものの、単語集に頼るような勉強は違うと思っていたので、「15~16問取れれば御の字」くらいでいたら、自身の総合的な実力が高まるにつれて自然と正答率も上がっていった。

英作文は(昨年の IELTSでもやや苦戦したが)、自分の手応えと採点結果が(良い時も悪い時も)あまり整合しなかったので、ざっくりと「16点レベル以上のものが書けるように」という目標でいた。

実際に合格した 2014年度においては、満点を取れた partこそないものの(←ちょっと残念 ^^;)、それぞれ目標ラインにほぼ沿う形で得点できたことになる。

もっとも現在では CSEスコアによる採点・合否判定に変更されているため、より各技能でバランス良く得点する必要があるでしょうが、考え方・目標の立て方としては参考にしていただければ幸いです。

■ 己を知る

彼を知り己を知れば百戦殆うからず。彼を知らずして己を知るは一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば戦う毎に殆うし。

知彼知己、百戰不殆。不知彼而知己、一勝一負。不知彼不知己、毎戰必殆。
-孫子
有名な「彼(敵)を知り己を知れば…」の故事は、「百戦殆うからず」の先まで見ると、上のような内容となっている。

試験に置き換えて考えれば、「彼を知る」という部分は、それぞれの試験に応じた対策であり、受験前に行われるものが多くを占める。

一方、「己を知る」という方は、幸いにして試験で命を落とす危険性はほぼないので、受験後の自己採点のタイミングも大切な機会として活用したい。

とりわけ、高い目標級に初めて挑むような場合は、もちろん一発合格できれば言うことなしではあるが、「本番の空気の中で自分がどれほどの力を発揮できるのか?」というところは、実際に受験して初めて見えてくるものも多い。

孫子の教えに耳を傾ければ、己を知ることの重要性が特に強調されているのが感じられる。受験経験を今後に存分に活かすためにも、どの問題でどのくらいの差を埋めるのか?というところを明確にしていこう。

過去問や模試タイプの問題に取り組む際にも、細かいクリア目標を常々意識しておくことで、安定した結果を残すための指針が見えてくるはずです。

★Here is the Path to Wonderland☆

現状と目標の差を最短距離で埋めるなら:
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Saturday, 20 January 2018

センター試験 (2018 英語)を解いてみた:解答のポイント

今年度は、ガリレオが実際に全問を解いていく様子を動画にしました。
  • ガリレオはどのように本文内容を把握しているのか?
  • どこに注目して正解の選択肢を判別するのか?
  • どのようなペース・時間配分で解き進めていくのか?
…といったところを観察し、センター英語はもちろん、各種英語試験に挑む際の参考にしていただければ幸いです。


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設問ごとの解答のポイント

第1問

  • 秒殺せよ。
何度もブツブツ言いながら「どれだどれだ?」とやっていないだろうか?

試験開始直後で時間配分を気にする意識が向きにくい段階だからこそ、ここで時間を浪費してしまうと後がキツくなる。上の動画では 2分13秒で解き終えているように、サッサと先を急ごう。そのためにも、発音・アクセントに対して不断の学習意識が欠かせない。

また、スペリングと発音の関連については、一度集中的に学んでおくことを勧める。
(特に母音 → ガリレオ作成の資料をご参照ください。)

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第2問

  • 現場で使われているんだ!
例えば、A-問1 [8]で「安い」と言っても salaryのことを表すのに lowを選ばせたり、C-問2 [25]では「バスに乗っていたら道が混んでいて間に合わなかっただろう」という文脈の上で I wouldn't have taken the train without your suggestion.という文を完成させたりと、実際に英語を使う場面で適切な単語や文の選択ができる力を問うている印象を受けた。

この傾向は、大学入試改革が行われても変わらないだろう。しかるに、ただ一問一答式の文法・語法問題集を黙々とこなすだけの勉強では不十分であり、学んだ表現を自ら使いこなせる力にまで昇華させることを意識して学習することが重要となる。

今後、4技能型試験の導入により、文法・語法の力は writing / speakingによる評価の比重が高まっていくと考えられる。この意味でも、「安い = cheap」のようなバカ暗記ではなく、コミュニケーションの現場で実際に outputすることを見据えて学んでいこう。

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第3問

  • A: 抽象-具体はセット。
  • B: 全員が共通して言及しているキーワードを見逃すな!
A-問2 [28]は、For example, で導入されている具体例が 「トマトは果物の一種」という考えをサポートする内容であり、前文の内容とそぐわないというものであった。例示は主張とセットであり、よって必ず整合性が見られる。

それぞれの文をバラバラに見るのではなく(ましてや、一文ずつ訳して終わりにするのではなく)、「今読んでいる文は、パラグラフ全体・文章全体の中でどのような役割を果たしているのだろうか?と考えながら読み解いていく習慣をつけよう。

また B-[32]では、昨年に引き続いて「全員の意見に共通する要素」が問われた。本文を注意して読めば、異なる3つの立場の人(たち)の意見の中に audienceというキーワードが表れていることに気がつくであろう。来年も同じ傾向で出題される可能性があるので、意識しておくと良いかもしれない。

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第4問

  • A: グラフ表現は何かと必要。
  • B: 条件を満たすものを探しに行こう!
第4問Aの図表問題では、当然ながら「図表のデータ⇔英語表現」と相互変換できる力が重要になる。上で書いたこととも重なるが、例えばビジネス英語でも、売上高や市場シェアなどを図表化して説明する機会は日常茶飯事だろうし、実践での必要性が高い。

そのような背景もあってか、近年注目度が高まっている TEAPでも Readingの Part 2Aが丸々「図表の読み取り」であるし、IELTS (academic module)の Writingの Task 1でも図表の説明が課されている。

第4問Bは設問→文書の順となっており、情報を探して読むという感覚が強い。特に問2, 3のように、条件が指定され、それを満たすものを選ぶ問題では、文書中の複数箇所に散りばめられた情報を漏らさず統合して判断しなければならない。これは TOEICに酷似している。

余談ながら、センター英語では、ここで簡単な計算を要する問題が毎年1問ある。受験生はもっと難しい数学なども受ける人が多いだろうから心配には及ばなかろうが、ここでミスしないようにしよう。(流石に現役の時ではないが、大学時代にその年の問題を解いてみた際、繰り下がりの引き算ミスか何かで満点を逃したことがあります…^^;)

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第5問

  • Imagine!!
タコの宇宙人 (・o・)/ に惑わされた受験生も多かったようである。確かに SF色が強く、日誌に書かれている状況を具体的に想像するのが難しかったかもしれない。

ガリレオとしては、もし現役時代にこの問題が出されていたとしても、なにせ受験勉強の合間に Harry Potter and the Chamber of Secretsを読んでいたわけなので、日常あり得ない状況描写だろうとも恐るるに足らずであったことだろう( ̄∀ ̄) だからと言って「受験対策にハリポタを読め!」と勧めるわけではないが、物語文はイメージ化しながら読むと良い。

そのトレーニングには Ted-Edの動画がオススメ。リスニング学習でもよく生徒に勧めているのだが、読んだり聴いたりした英文の内容を、このアニメーションのような感覚で頭の中に描き出してみると良いだろう。Ted-Edならば English subtitleに困ることは殆ど無いだろうし、日本語字幕つきの動画も豊富に揃っている。

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第6問

  • 分割して統治せよ。
動画 57:34~をご覧いただければ、第6問では「望遠鏡・顕微鏡・カメラ・X線」のようにパラグラフごとで内容を整理しながら読み進めていることが観察できよう。

80分という試験時間との戦いの場では、無駄な読み直しを出来るだけ排することが勝利につながる。もちろん、読み直しが必要な場合もあるが、該当箇所を素早く見つけられることがタイムロスを防ぐ。

今回の動画では、本文をほぼ全て音読し、軽く解説を挟みながらであっても、1時間ちょっとで全問を解き終えている。時間配分に苦労している受験生も多いだろうし、ガリレオ自身も、現役の時には試行錯誤を繰り返した。

しかし、そこで「速読力をつけるには…?」と、スキミングだのスキャニングだのといった隙だらけの "リーディングストラテジー"や、あるいはお題目だけの "パラグラフリーディング"といったテクニックに走らなくとも、きちんと全文を読んだ上で余裕を持って解き終える実力は身につけられるということを肝に命じてほしい。

また、第1パラグラフを読み終えた時点で、天体望遠鏡や顕微鏡の具体例を自ら導き出している点(カメラや X線までは発想が及ばなかったが…)にも注目して頂きたい。

言語学関連の専門書や論文を読み漁る中で、自然と先に書いてある内容を予測するクセがついたわけですが、「考えながら主体的に読む」という模範を示せたかと自負している。

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★Here is the Path to Wonderland★

センター試験を受験した皆様「お疲れ様でした」
…などという言葉をかけるつもりは無い。

駆け抜けろ!



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Wednesday, 10 January 2018

「マジ卍」考

■ 音形あり、意味を求めず?

この週末、各地で成人式が行われたということで、TVでは猫も杓子も「マジ卍」な新成人が多数紹介されていました。

この「(マジ)卍」という流行語、ワケノワカランものとして「近頃の若ぇモンは…」と突っぱねるのは年寄りのすることだが、言語学者の立場から見るとなかなか興味深いものとしてガリレオは捉えている。

というのも、我々は普段、何らかの伝えたい意味が先に頭にあって、それを表現するためにことば(=音形)を探すものである。
  • 意味音形
このことは流行語でも変わらず、例えば「○○なう」にしても「激おこ」にしても、何を言わんとしているかは明白であろう。

しかし一方、「卍」は清々しいほどに意味不明である。"マンジ"という音形(および恐らく、「文字」とも異なる「記号」が SNS上で目を引くということ)が先立ち、意味の方はその場のノリでなんとな〜くやり過ごすのが「作法」なのではないかと感じるほど。

こちらの記事によれば、「最近では<最高! マジ卍>や<めんどくさすぎて卍>など、肯定的にも否定的にも使う。」とのことだが、そのように使える大きな理由としては
  • 意味 <--- 音形
のように、通常とは反対のことばの使い方がなされているからと考えられよう。

これはさしずめ、ルイス・キャロルのことば遊びの構造にも通じうる(cf. 安井泉. 2013.『英語で楽しむ英国ファンタジー』静山社. pp. 161-165)。

■ しかし、懸念も感じる

他方、教育者として、新成人たちの「マジ卍」に対する思考態度には心配になる。上で引用した記事には、以下のような記載もあった:
無料通信アプリ「LINE(ライン)」は女子高校生を描く動画を制作。「マジ卍!」に字幕で「信じられない!」との“訳語”をあてた。同社によると、動画を作ったプロデューサーが女子高校生たちに繰り返し意味を尋ねたが、「意味なんてない。卍は卍。あるのは感情だよ」などと返されたという。
下線太字はガリレオによる)
成人式の様子を紹介したTVのワイドショーでも、複数の番組でレポーターが「卍」の意味を尋ねていたが、反応は同じようなもの。

もちろん、この回答が感覚的には「正しい」とも言えるのだとは思う。しかし気になるのは、若者たち(と言うと年寄りくさいのだが…)が、自ら使っていることば(?)の意味を説明しよう・考えようとすらしないように見えるところにある。J. S. ミルの『大学教育について』(セント・アンドルーズ大学名誉学長就任講演)では、以下のようなことが述べられている:
われわれは、毎日目に触れるものの意味を問うというようなことをほとんどしません。それと同様に、われわれの耳もまた、いったんある語や句の音に馴染んでしまうと、その音が果たしてわれわれの心に明瞭な観念を伝達しているのだろうかという疑問を抱かなくなります。そして、われわれが、その観念を明確に規定しようとするとき、あるいはその音声によって理解していると思っていることを他の語句で表現しようとするとき、非常な困難に直面することすら思いもよらないのです。
(J.S.ミル著、竹内一誠訳. 2011.『大学教育について』岩波文庫. p.34)
端的な例としては、昨年の Brexitの国民投票や、Trump政権の誕生であろう。果たしてどれだけの有権者が、自らの一票を投じるにあたり、Brexit"Make America Great Again"の表す意味を明確に規定していたと胸を張って言えるであろうか?

「マジ卍」のようなことばを、"ノリで"使って楽しむことは全く悪いことではない。しかし、一国の進むべき道は "ノリで"選ぶべきではない。然るべきときに慎重な思考・判断を行うためには、普段なにげなく使っている「ことば」に対して、立ち止まって考える習慣を身につけておくことが重要であるとガリレオは考える。

★Here is the Path to Wonderland☆

最後の文、「普段なにげなく使っている『ことば』に対して、立ち止まって考える習慣を身につけておくことがマジ卍」って書きたかったんだけどね ( ̄∀ ̄)

 


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